〈左官〉

土壁の魅力は、土の肌合いの豊富さにあります。陶芸とも似て地域によって土の色も異なります。もちろん壁紙の接着剤アレルギーが引き起こすハウスシックへの予防、調湿性に優れているなどの機能性があります。

それ以上に土壁は大きな面を作るので、空間のイメージやテーマを決めることができます。藁(すさ)の入れ具合や土の色などで硬質な空間か素朴な空間か優しい空間かなどを考えることができる大きな要素を持ちます。また、左官のコテの使い方で様々な表情をつくることができるのも魅力です。空間には、真行草という格付けがありますが、土壁はその格付けを決定つけるほどの力があります。土壁の持つクリエイティブ性をもっと生かせる空間をつくりたいと思っています。土壁は小沼充氏の水土グループとともに作っています。

土壁は商環境のように沢山の人が入り混じり、土壁の扱い方に配慮が仕切れない場合も多くあり、傷が付いたりすると全てを塗り直さなければならないリスクがあります。モルタル入りの強い土壁風のものもありますが、左官の柔軟性や調湿性など本来の魅力が出せないのが残念です。

コテ使いで土壁の表情をつくります。

2005.05

神奈川 横浜そごう

「大和屋」

Task

総合プランニング/コンセプトワーク/ロゴデザイン/内装・意匠設計 /サインデザイン

ショップツールデザイン/器コーディネート

大阪は上方の名料亭の初めての関東地区での出店。おくどさんを昔のように土の磨きでつくりました。美しい赤が美味しい飯を連想させます。

2002.12

東京 銀座

「うち山」

Task

総合プランニング/コンセプトワーク/ロゴデザイン/内装・意匠設計 /サインデザイン

ショップツールデザイン

店の玄関の前の漆喰で作られた廊下。正面の壁は大津磨きで仕上げています。この大津磨きは仕上げにオリーブオイルを塗るといういいということを試してみました。

2002.09

東京 東麻布

「万歴龍呼堂」

Task

総合プランニング/コンセプトワーク/ロゴデザイン/内装・意匠設計 /サインデザイン

ショップツールデザイン/器コーディネート

店内全ての壁を淡路の土壁とし、床は洗い出しでまとめた和食レストランの空間。素朴な質感の中に静寂な雰囲気を出してみました。

2007.06

北海道 網走

「あばしり湖鶴雅リゾート 北天の丘」

続縄文時代に駆け抜けた北方民族、オホーツク人が居た土地。豊かな自然に恵まれ海獣狩猟を主体とした民族。北の海で小さな船に乗り、矢じりをつけた原始的な狩猟方法でアザラシやクジラやシャチを追いかけたであろうことを想い、土壁に矢じりを模した鍛鉄を埋め込み小石を埋蔵された遠い歴史の表現として土壁を作りました。

弁柄を加えた赤い土壁。藁を貼り縄文的なイメージを貼り表現してみました。土壁は柔らかな刷毛引きで仕上げました。擦文文化へと移行していったことを思います。

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